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さてさて、先日は大変お見苦しいところをお見せして申し訳ありませんでした。 関係者各位にお詫びを・・・といったところで、当事者のイルミさんとわたし以外には別にいないのだけども。 まぁとにかく誰にでもいいから謝りたい心境なのだ、と言えば納得いただけるだろうか。 つまりぶっちゃけてしまえば。 「恥ずかしくて居た堪れないんですよ!!」 「何が」 「す・べ・て! です!」 黄色人種であるはずの純日本人のわたしだが、最近は赤になったり青になったりで、人類通り越して信号機である。 その原因はそのときそれぞれではあるが、今日の理由はイルミさんの買い物にある。 現在わたしが着ている服は、すべてイルミさんが近く(イルミさんの感覚で軽く走って片道1時間が本当に近いかは知らない)の街で買って来てくれた物だ。 そりゃあね、いつまでもパジャマのまま生活するわけにもいけませんし。 金銭的に、今は全生活イルミさんにおんぶに抱っこ状態ですから。 別に趣味じゃないとか、そういう文句は言いませんよ。これイルミさんの趣味なんですかとかも口にしません。 でもね。 「いい加減、しし下着とせい、生理用品・・・は自分で買いに行かせてください」 「何を今更」 確かに今更出すけども! 今つけている下着(何故かサイズぴったり・・・)も先日丁度きていたアレの時に付けていたブツも、アレもコレもソレも全部ぜんぶイルミさんによって買われたものである。 けれども、さすがにオンナノコ特有の、しかも肌に直接付けるものは自分で選んで買いたいんです。 そう思うのはわがままでしょうか。答えは断固として否、否である。反語。 「いっそ抱えてでもイイデスから連れて行って下さい!!」 口調は懇願だが、心の中ではヤケクソで命令形だ。連れてけやコラ。 しかし息を切らすわたしを前に、イルミさんはこう言い切った。 「」 「・・・なんですか」 「吐くよ?」 小首をかわいらしく傾げて言ったとしても、これは絶対脅しだと断言する次第であります師匠。 なんか色々確信犯でしょうあなた。 結局言葉の暴力に屈してしまった(あれは絶対「吐かせるよ」が正しいと思う)1時間後、わたしはこうして子供向け文字ドリルを前にウンウンうなっていた。 いや、うなるっていってもドリルが分かんないって訳ではないですよ流石に。そこだけは明記しておきます。 だいたいこの世界の共通語はほとんど日本語に近い。世界に名だたるハンター協会の初代会長が日本出身だったらしい。 文字は漢字ひらがなカタカナではないが、50音対応のローマ字のようなハングル文字のような、そんな文字だ。 どちらにしても他言語を一から学ぶよりははるかに簡単だと思う。まぁ日本の漫画ですし。 あ、それはさておき、閑話休題。 わたしが今何にウンウン悩んでいるかと言いますと。 「―――瞬間移動瞬間移動具現化シュンカン・・・いやいっそ瞬間じゃなくてもいい。念念ネンねんねん念」 ということである。 移動所要時間がネックになるというのなら、短縮すればいいんでしょ、の結論である。 「何を具現せよとー!!?」 いっそ某未来製猫型青狸ロボット(なんか色々と失礼だ)・・・のポケットが欲しい。もちろん道具付きで。 念の修行が開始された最初に、イルミさんは「水見式」とやらでわたしの念能力は「具現化系」であると判断した。 コップの中から古びた鍵が突如として出てきて吃驚仰天すっころんだのは別の話ですけど。 具現化には何を具現するかのインスピレーションが重要らしく、それについてはイルミさんの助力も当てに出来ない。 件のその鍵はきっと何かの意味があるだろうと考えて、今もわたしの首にチェーンでぶら下がっている。 それにしても何系がどういった能力であるかとか、念の基礎をまったくわたしは知らない。 漫画の主人公たちは、基礎の基礎から始めてた気がするんだけど、イルミさん曰く「は自分で念のコントロールするのまだ無理だから絶対」とのこと。 どんな念能力にするかはよく練って考えておいたほうがいいから順番は気にしなくていいらしい。 ・・・信じてますからね、師匠。 手持ち無沙汰にエンピツをぐるぐるまわしてかの少年漫画を思い出す。 確か主人公は「自分を強くする」系。あと金髪時々赤目な人が同じ具現化系だったかなーぐらい? だいぶ記憶力が低下している気がしないでもないです・・・ イルミさんの系統も聞いてみたんだけど、そういう情報は秘密にしておいたほうがいいんだって。教えてくれませんでした。 秘密主義だなーとか思ったけど、イルミさんとかご家族の情報はインターネット上で高い金額で取引されてるんだとか。 念情報はお金になるんだなーって、この時ふと思ったことが後の自分に影響を与えるとは思いもしなかったですけど。 と、そこまで考えて気付いた。 そういえばわたしイルミさんのこと、ほとんど知らない。 知ってることといえば、名前と職業、3歳年上で紅茶よりもコーヒーのブラック派。 食べ物の好き嫌いは何でも同じ様子で食べるので未だ不明。 夏に拾われて、季節はもう秋。 ずっとひとつ屋根の下なのに、実は何も知らない。それがちょっと悔しく思える。 わたしのことはあんなことからこんなとこ、そんなところまで知られているというのに。 「・・・ずるい、なぁ」 思わず口にして、ドリルを巻き込んで机の上に突っ伏してしまった。 わたしは何も知らないのに。 イルミさんは知っている。 その事実がただ、ずるいと、そう感じた。 ・・・・・・ん? 「何でだろ・・・?」 やっとこさ念の修行が開始ですけども。 放置プレーですかイルミさん(違)。 |