携帯電話を具現化した。

「何の役に立つんですか師匠・・・」
「さぁ」

ハードが具現できても、機能はまったくといっていいほど入ってなかった。
だめじゃないですか師匠。










その一、纏。
念を逃がさないように、身体にとどめること。

「うん、そんな感じかな」

朝から繰り返して、今はもうこんにちはの時間帯。やっとイルミさんからお褒めの言葉をいただけた。
これが念の中で一番基本中の基本である。四大行の一だ。
たしかにまずこれが出来ないと精孔から生命エネルギーが駄々漏れなんだから、普通はもっと早くに出来ないといけないのだけれども。

ずっと出来なかったけど、美容と健康にいいと聞かされたら頑張らずにはいられないだろう。オンナノコですもの。
まあコツさえ掴めば何とかなる。何とかなった。

「やっとですねー」
「やっとだね。じゃ、次絶ね」
「あいさ師匠」

絶は結構得意である。
だからって、別に元々わたしの存在感が薄いから、とか言わないでね。
とにかくなぜか得意なんです。

そぅりゃ。

「どうですか?」
「しゃべんなきゃ完璧」

それって別の場面で使うセリフなんじゃないでしょうかねイルミさん。
こう・・・素敵にドレスアップして孫にも衣装、みたいな。
別にイルミさんにそんな場面でほめられたいと思ってませんけど。

そんなこんなで念の基本技を確認していくわたしとイルミさん。
短い高原の夏の朝に拾われてはや数ヶ月。
季節はだんだんと冬に向かいつつあった。

ハンター試験は一年に一回新年過ぎに行われるそうで、わたしは今それに備えて修行を行っている、といったところだ。
いや、実際受かるって思ってないですけどね。
だってわたしの今現在の身体能力、いいとこアマチュアスポーツ選手ですよ?
向こうのトップレベルの選手も真っ青なビックリ人間ばかりのこの世界で、どう勝ち残れって言うんですか?
最初にイルミさんに話を聞いたとき、わたしはそう言って猛烈に反対した。
どう考えたって無理でしょ。受かるわけないよ。
でもそんなわたしにイルミさんはあっさりと「受かんなくてもいいから、受けるだけ受けてみなよ」と、そう返したのだ。





「だから、今のわたしじゃ一次試験だって合格しませんよ!?」
「うん、それでもいいんだけど」
「よくないですっ!」

だってさぁと小首を傾げるイルミさん。
そんな可愛らしい仕草したって合格率はあがりませんって。

「ここまで鍛えてもの基礎体力、上がんないんだもん」
「だもんって・・・師匠の弟さんたちと比較しないでくださいよ、頼みますから」
「だからさ、後は実戦形式でいこうかなって」
「・・・・・・聞いてます、ししょう?」
「まったく」

聞いてるんじゃないですかー!?





そうしてこうして、わたしのハンター試験受験は決定されてしまったのだ。
実はその時点でもう申し込んであったらしい。
・・・がんばれわたし。





「で、この携帯電話の意義は?」
「・・・・・・・・・」

イルミさーんっ!!!




















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そう簡単に強くなってたまるかと、平凡な身体能力の藤森が叫び、
いい加減さっさと放し進めろやと、スランプ夢書き藤森がうめく。